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浮き雲

使命と魂のリミット

手術で助からなかった父は、故意に手術を失敗させてのではないかと疑念を持つ主人公の氷室夕紀。
その有紀が勤める大学病院に届く脅迫状、いったい誰が何のためにって感じで話が進んでいき、そこに有紀の母の再婚やらなんやらと色々な話が絡んできます。
ところで私は東野圭吾って美人の女性を性悪に書く傾向がある印象が強いのですが、本作の有紀は美人って設定なんですがそうなってませんでした。
余談ですが、トヨタのリコール問題やらが一番話題になってっときに文庫化されたのは皮肉な話です。

お医者同心 中原龍之介 猫始末

和田はつ子の新シリーズです。
タイトルに中原龍之介とありますが、株を買った商人上がりの新米同心松本光太郎を軸に話が展開されていく形となっています。
主人公龍之介の設定がちょっと変わっていて面白いです。
和田作品は『やさぐれ三匹』シリーズと『余々姫』シリーズしか読んでいないのですが、この作品も前記2シリーズと同じように優しい雰囲気の肩のこらない読後感でした。

腕試しの辻 口入屋用心棒

鈴木英治作品で一番売れているシリーズ。口入屋用心棒の第15作。

今作は宿命の相手だった佐之助や今や形だけの妻となった千勢との関係にようやく一区切りがつく話です。
がしかし、これって今までの話の根幹に関わってた部分だったのだから、もうちょと丁寧に書いてもよかったんじゃないのかな。
今回の敵役だって背景を数ページに渡る説明で書かいて「調べてもこれしか判らなかった」とかやらずにきちんと書けば、直之進と佐之助、佐之助と千勢、千勢と直之進それぞれの関係をを絡めて3作くらいの連作にしていくことが出来たのじゃないかと思うし、その後に三人の新たな関係が生まれて話が終われば、読後感も気持ちがいいものとなったと思います。さらには、ここでシリーズを終わらせでしまうこともできたと思う。

前作、前々作は一つの陰謀にまつわる話がおわって模索中なんだろうなと思ってたんですが、今回は迷走中というよりも核になる人々の話を大幅設定変更中とでもいったところでしょうか。
帯によればシリーズ累計が100万部いったらしいので人気シリーズ宿命で終わるに終われないという部分もあるとは思うけど、このままだと読者は離れていってしまうのでは危惧してしまいます。
好きなシリーズだっただけに少し残念でした。

惜別の残雪剣 同行屋稼業㈢

同行屋稼業の3作目
前作から薄々感じてたんですが、なんか主人公が泉阿弥になってるような気がします。
今作も泉阿弥と露木雫が同行する少し暗めの話と珍道中っぽい桜見歓十郎の話の2編となっています。
泉阿弥の話は伝奇物みたいな感じなっていて、田沼意次に絡む政争やらもう何でもあり度が倍増です。
私はそれはそれでよしってな感じですが抵抗を感じる人もいるかもしれないです。

江戸の夕栄

明治維新を二十歳で迎えた著者が江戸時代を振り返った回顧録。
出版時期自体が昔のことなので、本書の中で「今○○があるあたりに」みたいな描写がすでに昔の話になっているというもちょっと面白いです。

他にもこんな蕎麦屋がありましたというところで「らんめん」「らん麺」「蘭めん」といった名前の蕎麦屋が結構あったのが意外です。
絶版状態なのでこういった本に興味がある人は書店で見つけたら買った方がいいです。

武士道エイティーン

武士道シリーズ最終巻
今までは香織と早苗二人の独白で話が進んでいたのですが、
今作は早苗の姉緑子、香織の師匠桐谷玄明、早苗の顧問吉野、香織と早苗の後輩田原といった脇役の独白も交えることで話に奥行きを作っています。
(ちょっと桐谷先生のエピソードがやりすぎ感がなくもないですが・・・)

青少年が主体の話では大人が妙に立派な存在になっていることがありがちですが、
大人二人の独白が大人だってそんな立派なものじゃないよ、大人になったってやっぱり悩んだり色々かんがえてるんだよと等身大の姿がかかれることで、
今の主人公たちの悩みや挫折を肯定的に感じられるようになっている気がしました。
一番盛り上がりそうなところをクライマックスに持ってきてシャンシャンとしないで、
その後も話が続いていくので主人公たちの未来が感じられるこういう終わり方は好きですね。

暁の斬友剣 同行屋稼業㈡

前回お客さん泉阿弥が同行屋の仲間に加わった第二弾。
歓十郎と泉阿弥がまたもや田沼意次の密名で旅立ちます。
田沼失脚をたくらむ勢力の影がちらついたりと、ちょっと幕府内勢力争いを交えたりして話の幅が広がってきました。
ちょっと泉阿弥が万能すぎるんじゃない?といったご都合主義がなくもないんですが、まぁ許せる範囲でしょう。
前作もそうですが露木雫のエピソードが独立した短編として入っていて、こちらはメインの若干暗いトーンとは違い全体的にお気楽な展開がお口直しの一品みたいになっています。

塩の街

ベストセラーになった『図書館戦争』の作者のデビュー作。
『図書館戦争』文庫にならないかなぁと思っているところに、それ以前の3作が角川文庫か発売されました。まんまと術中に嵌った感ありありなんですが買ってしまいました。
本書は初めライトノベルとして出版されて、その後の短編を追加して単行本化、そして今回の文庫化という道を歩んで、表紙も単行本化のときにアニメ絵から一般小説風に改まったみたいです。
コアなSFファンには設定の背景がないと怒られるかもしれませんが、広義にはSFになると思います。
突如世界に塩の柱が落ちてきて人が塩化する「塩害」が蔓延した世界での恋愛のお話です。まず設定ありきで話が進んでいくわけですが、その内容は実に古典的といいますか口幅ったい表現でいえば純愛とかいうやつです。なので世界観さえ受け入れられれば中々面白いです。
たしかにライトノベルで展開させておくのはもったいないというのは頷けました。

斬剣 冥府の旅 同行屋稼業

紀伊国屋大手町店で特設コーナーみたいになっていたので購入してみました。何故あのテーマでこれがこれが混じっているのか謎ではありましたが・・・
本業の口入れ屋は妹へ押し付けて跡取りは道楽半分で訳ありの旅の手配や用心棒の同行を手配している橘屋、そこで同行屋を生業にしている新当流の達人ではあるが気取らない性格の桜見歓十郎が主人公のお話。
その橘屋に田沼意次の密名によって紀州への使いを命じられた同朋衆泉阿弥の同行をする仕事が入る。泉阿弥は歓十郎との同行を通して人としての心に目覚め、歓十郎は過去の因縁と向き合うことに・・・って感じで話が進みます。
脇に同じく同行屋で無表情無感情の性格が読めない男装の美女露木雫などを添えるなど、ある意味王道、時代小説って男装の女剣客って定番ですよね。
表紙があれってことで期待しなかったせいもあったのでしょうが、いい意味で期待が外れました。

酔いどれ剣客―浮雲十四郎斬日記

十四郎斬日記の第二作
ストーリーはまぁいいんですけど、敵役の背景が前作とほとんど一緒というのがどうも引っかかってしまって、結局最後までそれを引きずって読んでしまいました。
それ以外は十四郎の妹に懸想するのが出てきたりと、それなりに面白く出来ていたと思います。
でもこれで止まってる(終わってる?)のも仕方がないのかなとも思いました。

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